秋の雲さらに高みに飛行雲    澤井 二堂

秋の雲さらに高みに飛行雲    澤井 二堂

『この一句』

 飛行機雲の句はこれまでに何千、何万と詠まれているに違いない。「もう飛行機雲の句はたくさんだ」という人は少なくないし、「私は詠まない」と決めている人もいるようだ。しかしこの句は、そのタブーめいた「飛行雲」に挑戦し、句会では二点を獲得した。
 駆け出しの新聞記者だった頃、先輩から「手垢のついた言葉を使うな」と何度も注意され、そのたびに「手アカのついた、という言葉もそうだ」と反発を覚えた。「飛行雲」も手アカ組なのか。かつては句会で何度も見掛けたが、最近はめったに出合わなくなった気がする。
 掲句はまず「秋の雲」(兼題)とし、「さらに高みに」と目玉の言葉を置いて、珍しい様子を描いた。秋の雲のさらなる上に飛行雲が伸びていたのだ。そんな状況を確認したら、誰もがしばらく眺めているのではないだろうか。俳句はこんな状況から生れてくるものだ。大空は広い。飛行機雲のある風景もさまざまである。アッと驚くような飛行雲の句の登場を期待したい。(恂 19.09.29.)

この記事へのコメント

  • 迷哲

    飛行機雲はよく取り上げられる句材ですが、この句は雲の二層構造に発見があると思いました。。
    秋の雲の「さらに高み」へ視線が導かれ、飛行機雲の高さと空の広がりをより感じます。作者の観察眼が生んだ句ではないでしょうか。
    2019年09月29日 18:04