地続きに弥生の古墳秋の声    廣上 正市

地続きに弥生の古墳秋の声    廣上 正市

『季のことば』

 秋の声とは秋風や虫の声など、実際の物音である場合もあるが、どちらかと言うと、心で聞く秋の物音である。音と言うよりは気配と言った方がいい。
 自宅の庭の地続きの草ボウボウの小山がどうやら古墳らしい、そこから何とはなしに秋の声がして来る、とは実に面白い。文京区の弥生式発掘跡は今や跡形も無いが、板橋区、北区、大田区、川崎市、横浜市には住宅地の脇に古墳が肩身狭そうに残っているのを見る。
 天皇陵と同定されたり推定されたりしたものはもとより、国や地方自治体が史跡に指定した古墳は勝手に穿り返してビルや施設を建てたりするわけにはいかなくなる。ということから、住宅地の真ん中に円墳、方墳、前方後円墳などが残ってしまう。こういうのが全国に数千あるという。
 いつの時代に出来て、どんな人が眠っているのか、さっぱり分からない。現在の土地の持主にとっては困ったことかも知れないが、こういうものがぽこっと残されているのは、回りの人たちには何とはなしにほっとする感じもある。耳を澄ますと秋の声が聞こえて来るというのも頷ける。
(水 19.09.25.)

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