憧れの制服試着風光る      工藤 静舟

憧れの制服試着風光る      工藤 静舟 『合評会から』(日経俳句会) 朗 合格おめでとうございます。新しい学校でのワクワクする春が始まりますね。 青水 風光ると憧れと試着の繋がりに無理がなく、季語を信じた作風が良いと思います。 迷哲 制服に憧れるというので、女子中学か女子高校を受験した女の子をイメージしました。弾む心と季語が上手く合っていて、爽やかな感じを受けました。 双歩 憧れの制服ですから、当然光り輝いて見えたでしょう。風も光り、とても爽やか。 明生 憧れの中学か高校に見事入学したのだと思います。その制服を初めて試着した時の生徒の眩しさ初々しさ、よくわかります。           *       *       *  確かに筆者の記憶でも、初めて学生服に袖を通した時は晴れがましく感じたものだ。何だかちょっぴり賢くなった気もした。制服にはステップアップの証の要素もある。ましてや難関校に合格し、「憧れの制服試着」だとしたら、なおさらだろう。  季語「風光る」は、山本健吉によると「うらうらと晴れた春の日に、軟風が吹きわたることを言う。風にゆらぐ風景のまばゆいような明るさを、風が光ると感じた」という。選者が口を揃えて言うように、「憧れの制服」と「風光る」はまさにピッタリ。春らしい気持の良い一句となった。 (双 25.03.16.)

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