いつの間に少年の顔寒稽古    廣田 可升

いつの間に少年の顔寒稽古    廣田 可升 『合評会から』(番町喜楽会) 光迷 空手や剣道の教室に通う子供たちとよくすれ違います。「あれっ、あの子、随分大人っぽくなったな。顔も精悍になって」と思うことがままあります。 迷哲  口元を結び、真剣な表情で寒稽古に取り組む子供。「いつの間に」の上五に親の驚きと喜びが滲みます。 斗詩子 まだ幼顔の子供が、暑さ寒さの中を必死な形相でその道に励む姿は頼もしく見えますね。ある日、こんなに大きくなったのだと成長した顔付にはっとすることも。 可升(作者) 孫の事です。空手をやってるんですが、形を構えたりするとき、はっとするような表情を見せる。久々にみると少年らしい顔付になっていてびっくりしました。           *       *       *  「親が無くても子は育つ」ともいわれるが、子供の成長は真に速い。「ちょっと見ない中に」の成長ぶりに驚かされることも多い。普段、顔を合わせることの少ない孫となれば、なおさらだろう。最近は、マラソンなどの「朝練」には出合うが、柔道や剣道の「寒稽古」は珍しくなった気がする。それはともかく、成長の歓びを、顔付に託す形でまとめている作り方に好感が持てた。 (光 25.02.13.)

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