あれはだめこれも燃やすなどんど焼き 杉山三薬
あれはだめこれも燃やすなどんど焼き 杉山三薬
『合評会から』(日経俳句会)
愉里 昨年末、正月飾りを買いに行ったら、このお飾りはエコだから全部燃やせますと言われました。それを売りにしているようです。
てる夫 自治会の役員がそれは燃やせない、ビニールの類は駄目と、細かい。変なものを燃やすのを非常に嫌がります。
水牛 うちの方の神社でも鶴は外せ、海老も外せとか、いろんなことをいう。分別する箱が置いてあって、本当に面倒くさい。
静舟 焚火の難しい時代。神社に行くと分類の細かい注意書きがある。分けられた人形やマスコットはどうなるのだろう。
千虎 自然素材だけで出来た物が減って、どんど焼きも難しいのでしょうね。
光迷 最近の世相をよく捉えています。お炊き上げでも立札に注意事項がずらり。
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「どんど焼き」は、新年の季語「左義長」の傍題。1月15日の小正月に正月飾りなどを持ち寄って焼き、その火で餅や団子を炙って食べ息災を祈ったり、書き初めの書を焼いて上達を願ったりする火祭りの行事だ。
ところが、上記選者の数々の証言から分かるように、最近はほとんどの場所で左義長に焼べる物が制限されている。金属類はあたり前として、燃すと有害物質が出る物もあり、屋外で何かを焼くのは本当に気を遣う。もちろん、冬の風物詩「焚火」も今や御法度。そんな味気なくなった世相をユーモラスに掬い取って、初句会で堂々の高点句となった。
(双 25.01.23.)