主老いて荒れたる庭や薮枯らし 杉山 三薬
主老いて荒れたる庭や薮枯らし 杉山 三薬
『この一句』
私の庭を覗き込まれたような句だな、それにしてもまさにその通りなんだよなと思った。身体が十分に言うことをきかなくなって、庭の手入れを怠りがちになると、途端に藪枯らしがはびこる。
生垣を覆い、庭木に巻きついてよじ上り、次の木に移る。あっという間に庭を覆い尽くし、しまいには陰になった樹木を枯らしてしまう。長年丹精込めて仕立てた庭や庭木も、ちょっと寝込んだり、忙しかったりで半月ばかり放っておいただけで、その間もちろんヤブガラシを追いかけるようにその他諸々の雑草も盛大に茂るから、庭は雑草オンパレードで目も当てられない惨状を呈する。
今年の夏から秋がまさにこの状態になった。なんとも形容し難い猛暑の連続で、草むしりなんてとんでもない。10分もしゃがんでいたら熱射病になりそうだ。しかも、いつまでたっても涼しくならない。10月に入ってからも30℃を超える日があるという、まさにキチガイ沙汰の令和6年夏秋だった。もうどうなとなりやがれと不貞腐れるよりしょうがない。
ブドウ科ヤブガラシ属の蔓性植物で、東南アジアから東アジア、日本列島に広く繁殖する。地下茎がぐんぐんと四方八方に伸び、一旦生えてしまうと根絶するのが困難な厄介な雑草だ。これが茂るような荒れた庭の家は貧相に見え、庭の手入れもままならぬビンボー人というわけで別名「貧乏葛(びんぼうかずら)」と言う。
(水 24.11.11.)