ラムネ抜く昭和の音の響きあり  加藤 明生

ラムネ抜く昭和の音の響きあり  加藤 明生 『合評会から』(日経俳句会) 実千代 昭和生まれは昭和に弱いので頂きました(笑)。 春陽子 駄菓子屋の婆さんが皺くちゃの手でラムネの栓を抜いてくれました。あれはやはり昭和の音ですよね。昭和の響きと言い切って大成功です。 豆乳 ラムネは栓の抜き方にも、飲み方にもコツが要ります。まさに昭和の思い出。懐かしいです。 操 ラムネは昭和そのもの。懐かしさに浸る。           *       *       *  なるほどなあ「昭和の音」とはうまいなあと思った。合評会でも異口同音にこの言葉が良かったとの評。とにかく懐かしい。  ラムネは明治時代、欧米人が持ち込んだ清涼飲料水だ。英語のlemonade(レモネード)を当時の日本人の“耳から英語”で「ラムネ」と聞き覚えた名前が定着した。もともとはイギリス人が発明した、炭酸水を注ぎ込むと炭酸ガスの圧力でビー玉が持ち上がり瓶の口をふさぐ玉詰瓶がミソ。封入するのは砂糖とクエン酸とレモン香料を溶かした水で、玉詰瓶に入れて炭酸ガスを入れる。明治5年には日本人が製法を学び、ラムネ瓶を作り、大流行した。今では発祥のイギリスやアメリカではラムネ瓶を製造するメーカーが無くなり、日本の特産品になっている。それも中小企業の事業機会確保のための商品の一つに指定され、大企業がラムネを製造することは法律で禁じられているというから面白い。日本にやって来るガイジンさんたちが珍しがって大喜びしている。 (水 24.06.…

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