光降るこの道白き花水木 水口 弥生
光降るこの道白き花水木 水口 弥生
『合評会から』(日経俳句会)
ヲブラダ 花水木の白を強調する句がいくつかありましたが「光降る」とは。
静舟 花水木の並木道はお天気の良い日は、まさに光り輝く道となる。
水馬 花水木の咲いている道はとても明るいです。春らしい句。
戸無広 光との調和がよく表現されています。
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この句は句会で四点も取ったのだから、人の心をつかむ何物かを備えていることは確かだ。しかし、この句には「道が白いのか、白い光が降るのか、分かりにくい」という疑問が呈された。
この句は「光降る」で切れて「この道白き花水木」と続くのか、あるいは「光降るこの道」と続き「白き花水木」という句またがりの二句一章の俳句なのか。前者だとすると「この道」で一旦小休止するいわゆる三段切れになって、まとまりに欠けてしまう。やはり、後者のとてもユニークな詠み方と受取るべきだろうか。おそらく作者はこれによって「光降る」を強調したかったのだと思う。
しかし、そうすると今度は「白き花水木」というのがどうかということになる。花水木にはピンク系もあるが元来は白い花なのだから、わざわざ「白き」と断らなくてもいいのではという疑問である。
「光降る」で十分なのだから「白き」などとせず、たとえば「光降る公園通り花水木」でいいのではないかと思った。しかしこれまたなんとなく物足りない。「光降るこの道白し花水木」とするか、「光降る白きこの道」とす…