株価だけぬくぬくとして寒の内 杉山 三薬
株価だけぬくぬくとして寒の内 杉山 三薬
『この一句』
この句が投じられたのは、令和6年1月13日、土曜日の酔吟会のことだった。前日1月12日の日経平均の終値は3万5577円、前年12月29日、大納会の終値が3万3464円だったから、およそ2110円の値上がりになる。ちなみに令和5年に株価は7470円ほど上昇した。それと比較しても結構な値上がりぶりで、よって「ぬくぬく」となるわけだ。
その理由づけは日本企業の稼ぐ力が強化されたとか、円安の進行によるとか、いろいろある。ゼロ金利からの出口戦略を決断できない日銀の腹の内を見透かして、ということも。昨年、物価はかなりの勢い、幅で上昇し、賃金もまた上昇した。だが、昨今の実質賃金はマイナスなので、庶民は「ぬくぬく」というわけにはいかない。
と書いて来て思い当たった。「ぬくぬくしているのは株価だけではない。パーティー資金を懐に入れた安倍派の幹部、五人衆などがもっとぬくぬくしていたのではないか」と。付言すれば、パーティー券を買った企業や経済団体のお偉方は「ぬくぬく」なのか「ひやひや」なのか。ともあれ、俳句も乙に澄まさず、もっと政治や経済のことを取り上げていい。
(光 2024.01.18.)