初みくじ裏を返せば英字版 徳永 木葉
初みくじ裏を返せば英字版 徳永 木葉
『この一句』
この年末年始に外国からの訪日観光客がどっと増えたと、ニュースが伝えている。コロナの入国制限緩和に加えて円安もあり、コロナ前の水準を回復する勢いという。ただ旅行の内容は、化粧品爆買いに代表される買い物ツアーや名所巡りから様変わりしているようだ。日本の伝統文化や庶民の暮らしに接する体験型ツアーが人気だという。禅寺で坐禅を組んだり、信州で凍み豆腐づくりを体験したりといったコースが紹介されていた。
各地の神社・お寺の年始参りでも外国人の参拝客が目につく。作法を習ってお参りし、破魔矢やおみくじを買う。掲句はそうした動向を軽妙に詠みとめたもの。「裏を返せば」の中七が巧みで、おみくじという極めて日本的なものが、ひっくり返せば国際理解の小道具に転じるところが面白い。
調べてみると神社・お寺の国際化は意外に進んでおり、成田山新勝寺、浅草寺、明治神宮、鶴岡八幡宮など、英文みくじを取り入れている所は多い。日本文の内容を英訳して裏に記載するスタイルが大半だ。ちなみに大吉はGreat LuckもしくはExcellent Luck、中吉はMiddle Luck、小吉Small Luck、凶はBad Luckと訳すようだ。小さな英文みくじが国際化の懸け橋となっていると考えると楽しくなる。
この欄の読者の皆様にGreat Luckがもたらされる一年であるよう祈念して、今年もご愛読をお願いしたい。
(迷 24.01.01.)