年の暮れ三倍速のひと日ずつ 水口 弥生
年の暮れ三倍速のひと日ずつ 水口 弥生
『合評会から』(日経俳句会)
雀九 三倍速が面白いと思いました。ただ、いくら何でも三倍速というのは……。実感としては、せいぜい二倍速くらい。二倍速では字足らずだから三倍速でしょうか。
木葉 年の暮れの慌ただしさを三倍速と言い切ったところが面白いですね。
三薬 お二人と同じですが、「ひと日ずつ」が気になりました。もう少し工夫できたかも知れませんね。
愉里 三倍速に強迫観念すら感じている自分を重ねてしまいました。
豆乳 三倍速に実感がこもっています。
卓也 気忙しいこの時分ならではの句ですね。
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年の暮れを「日が飛ぶように過ぎる」というのは誰もが感じることで、俳句にも大昔から詠まれている。それこそ「月並俳句」と笑われてしまう。しかし、そこに「三倍速」を持ってきたことで生き返った。確かに三薬さんの言う通り「ひと日ずつ」がこなれない言い方だが、「三倍速」のパンチ力で句会の票をさらってしまった。
掃除も済んでいない、買物に行かなきゃ、美容院の予約時間、あれもこれも中途半端。そう言えば、いつか見ようと溜め込んである昔の番組が一杯出て来た。ええいままよ。何もかも放り出して、三倍速で見始めた・・などということがオチなのかも。
(水 23.12.28.)