北風に向かひ塾行く六年生    徳永 木葉 

北風に向かひ塾行く六年生    徳永 木葉                                              『合評会から』(番町喜楽会) 百子 大変だろうなあと思います。私も子供のころ、寒い中を自転車で塾通いした思い出があります。 光迷 孫が六年生で塾に行っています。十時ぐらいまでやっているようで、親が迎えに行く。句には「塾行く」とありますが、「向かひ」と表現がかぶるので、「塾へと」でいいのではと思います。 水馬 隣の家の六年生がお受験で、塾通いして頑張っています。そんな光景を目にしているので、ぴったりの句だなと思いました。           *       *       *  この句を詠みながら、教育について考えることが多かった。塾通いに関連していえば、学校では教え切れないのか、という疑問。幼児では幼保一体化ができず、青年では大学の定員割れが続出という事態。「教育は国の礎」であるはずなのに、一体どうなっているのだろう。  俳句では「一句に動詞が二つ以上あると緩む」といって嫌う向きがある。確かに動詞を使っていない「夏草や兵どもが夢の跡」(芭蕉)は引き締まっている。だが「鮎くれてよらで過行(すぎゆく)夜半の門」(蕪村)という動詞が三つも入った句のゆったりした感じ、情緒も捨て難いのではないか。 (光 23.12.27.)

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