今年こそマニュキア塗って年の暮 池村実千代
今年こそマニュキア塗って年の暮 池村実千代
『合評会から』(日経俳句会)
而云 かれこれ三十年前くらいになるかな、うちの娘がこんなことをやっていたのを思い出しました。
水兎 今年こそと初めてマニキュアを塗る人もいるだろうし、今まで家事に忙しくて塗れなかったけれど「もうそういうのは卒業よ」と塗る方もいらっしゃるだろうから、二重の意味で面白いなと思いました。
青水 季語とマニキュアをくっつけてきたのが新鮮で素晴らしい。いろいろな解釈ができ、いくらでも物語が生れて来そうです。
双歩 「マニキュア塗ってやるわ」みたいな句は、なかなか見かけないので、新鮮だなと思いました。
木葉 今年こそと年の暮は合わないような気がします。今年こそマニュキア塗って初日の出とかなら分かるけど、今年こそを使うなら新年の感じでは……。
定利 コロナでお化粧も出来なかった。まず爪から……。
* * *
作者の弁「年の暮はマニキュアする暇もなく、あたふたと家のことに追われていました。今年はそういうことは置いといて、マニュキア塗って、ゆっくりと年を越す、自分の心に向かい合う年にしたいなと思って作りました。今までと違った自分になる、実千代再生プロジェクトの一環です」(笑)。これに付け加えることは無さそうだ。この気分がとても面白い。
(水 23.12.25.)