銭湯を出て振り仰ぐ冬の虹 金田 青水
銭湯を出て振り仰ぐ冬の虹 金田 青水
『合評会から』(酔吟会)
愉里 席題の「銭」から「銭湯」を詠んだのでしょうが、「冬の虹」の季語できれいな句になったと思います。
光迷 冬の虹ですから、そんなに長い間空に掛かっているわけでも、色濃いわけでもないと思います。わが家の近くにジャグジーなどもある銭湯ができ、午後二時ころからやっています。二階にはあたりを展望できる場所もあり、虹も見られそうです。
双歩 風呂上がりのほっこりした気分で振り向いたら、虹が出ていた。小さな幸せを詠んだいい句ですね。
青水(作者) 「銭」のお題が出た時、「銭湯でもいいの」と尋ねた手前、「銭湯」で一句詠みました。
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小春日の午後あるいは夕方の、おだやかな気分の溢れる、いい句である。冬の虹は夏の虹と違い、くっきり大きく出るわけではないだろう。しかし、予想しえない素敵な贈り物ではある。銭湯は減り続けているようだが、郊外の住宅街にもサウナやジャグジー、さらにくつろぎ談笑できる空間など設備を充実した入浴施設が登場してきた。ここで近隣の輪が広がり、また和が高まれは、嬉しい限りではないか。
(光 23.12.11.)