跳ね回れやんちゃうれしや障子貼り 工藤静舟

跳ね回れやんちゃうれしや障子貼り 工藤静舟 『合評会から』(日経俳句会) 愉里 破れた障子を新しくしているのでしょう。「どんどん破いてもいいからね」と言いながら、新しくして、また思い切り破いてもらおう、というような気持で障子貼りをしている。ほのぼのとした光景が浮かびました。 芳之 跳ね回れとは勢いがあり過ぎで、やんちゃな句です。 定利 お孫さんとお婆ちゃんの姿が浮かぶ。楽しい障子の句。 鷹洋 子供の頃を回想しているのでしょう。障子貼りに大わらわの両親に怒鳴られてもまた騒ぐ、確かにやんちゃですね。作者も面白がっているやんちゃなのかも。         *       *       *  都会地ではほとんど見られなくなってしまった情景である。今出来の小住宅には日本間が無くなり、「障子」というものが姿を消してしまった。地方都市の昔ながらの、無駄が多いが、それだけにゆったりとした感じの家の11月の景色であろう。  障子の貼替えはまず古い障子紙を剥がすことから始まる。この日ばかりは破り放題で子どもたちはキャッキャと笑いながら拳や指を突っ込んだり、引っ剥がしては大はしゃぎ。障子は六畳か八畳間なら少なくとも6枚、十二畳の広間なら10枚から14枚くらいある。お婆チャンとお母さんは大忙し。これを皮切りに歳末へと追われるような日々が始まる。 (水 23.11.05.)

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