握りしめ温きどんぐり子の土産  谷川 水馬

握りしめ温きどんぐり子の土産  谷川 水馬 『合評会から』(番町喜楽会) てる夫 団栗という難しい兼題を前に捻り出した句でしょうか。「握りしめ」の表現が子供らしくていいですね。 二堂 きっと母親に団栗を見せて得意がっているのでしょう。 水兎 見ると拾いたくなるのが団栗。拾うと誰かにあげたくなるのが団栗です。 幻水 子供が拾って大事に持ち帰った団栗によって、家族のぬくもりが伝わってきます。           *       *      * この日の句会の兼題「団栗」で詠まれた句の、半分近くが子供にまつわる句であった。ポケット一杯になった団栗を詠んだ句や、ままごと遊びに使われる団栗を詠んだ句など、常套的な句が多く並んだ。そんな中にあって、掲句は、手渡された団栗の温みが読む者にまで伝わってくる、ユニークで生き生きとした句になっている。ただ、その一方で、「握りしめ温きどんぐり」の表現は、説明調でうるささを感じたというのも正直なところである。もう一段推敲すればさらに良い句になりそうなのに、やり方をひとつ間違えるとただ事になってしまい、持ち味であるリアリティが失われかねない。そんな悩ましい感想を持った句である。 (可 23.11.03.)

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