とりどりの菊纏ひをり白虎隊   岩田 三代

とりどりの菊纏ひをり白虎隊   岩田 三代 『合評会から』(日経俳句会) 三薬 たぶん福島県二本松の菊人形でしょう。七、八年前の吟行を思い出した。 青水 菊人形と白虎隊はちょっと手垢にまみれている感じがしたのですが、俳句としては「とりどりの菊」という上七に技法を凝らして、白虎隊で上手く収めている。 木葉 様々な色の菊に彩られた少年達も、生きていればとりどりの人生があったろうということか。 守 会津若松にまた行ってみたくなります。 健史 白虎隊の思いと後世の人の思いが両方見えてきます。           *       *       *  菊人形は日本の秋の風物詩のひとつ。中でも福島県二本松市と福井県越前市の菊人形展は規模が大きく、多くの観光客を集めている。掲句はその二本松とおぼしき菊人形展の白虎隊を情感豊かに描いている。  「とりどりの菊」の表現が巧みである。色も形も様々な菊を集めて人形に仕立てる様を詠みつつ、藩を守るため白虎隊に参加した少年たちそれぞれの覚悟や運命を暗示する。さらに菊を「纏ふ」との措辞に思いやりがこもる。黒の戦闘服に白襷で戦ったとされる白虎隊に、平和な今の世なればこそ、色とりどりの菊を着せたいという優しい気持ちが感じられる。  華やかな菊人形であるが故に、白虎隊の悲運が胸に迫る。「生きていればとりどりの人生があったろう」という木葉氏の句評に共感する人は多いのではなかろうか。  (迷 23.11.01.)

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