日傘持つ勇気が我に今一つ 旛山 芳之
日傘持つ勇気が我に今一つ 旛山 芳之
『合評会から』(日経俳句会)
雅史 そんなこと言ってられないほど、今夏の日差しは強烈に感じられます。
光迷 日傘を使う男性が増えていますね。「涼しくて気持ちいい」と聞きますが「勇気が……」という言葉に共感。
豆乳 男の日傘は女々しい。私は断固、拒否です。
枕流 美容男子が増えている若者世代と違い、やはり「男の沽券」に係わるのでしょうか。
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この句会は高齢男子が多いせいか、作者も、選んだ人たちも男日傘拒否派である。実は私も外出する時いつも「日傘さしてお行きなさい」と言われるのだが、「嫌だよ」と言い捨てて出かける。去年から晴雨兼用の傘なるものが用意されているのだが、未だに開いたことがない。
今年の夏の暑さは異常だった。6月から30度を超える日があって、7月に入ると連日の猛暑。さすがにがっくりきて、「せっかくあるのだから差してみようか」と思ったこともある。しかし差さない。どうしてなのか、自分でもよく分からない。強いて言えば、作者の言うように「勇気」が無いのだ。これは「男子たるもの」などといった時代錯誤の空威張りではなく、ただ単に男が日傘をさしているのを見ると、「やっぱりかっこ悪いなあ」という印象からなのだ。しかし、これも突き詰めれば「男女差別」の悪しき習俗のシッポのようにも思えないでもない。
(水 23.08.18.)