手術日の決まり新樹を見上げをり 向井 愉里
手術日の決まり新樹を見上げをり 向井 愉里
『合評会から』(日経俳句会)
迷哲 手術を控えて、緑豊かな木を見上げ、頑張って行こうと。そういう心の動きが見えるようです。
双歩 自分史俳句というか、日記に書くような言葉で俳句を詠む。手術日が決まって、周りを見たら新樹が鮮やかに輝いていた。気持がほっとしたと思わせる感じが出ています。
雀九 手術は怖いと思われてますけど、この句はそんなに怖がってはいないような気がします。これですっきりしたという事で周りを見たら、新樹が盛んだという事で、自分の気持を詠んだんだろうと。
青水 八音と九音を組み合わせ、前半で作者が置かれた状況を、後半で季語に託した心情を表現した。作者の気持ちが詩情豊かに伝わって来ました。
静舟 覚悟して、新樹の生きる逞しさに身を任す。いいですね。
操 新樹の放つエネルギーに心身ともに力が湧いてくる。心穏やかにその日を迎えられる。
定利 佳い結果になりますように!
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夫の耳下のこぶの手術が、コロナが明けてやっと決まった。「本人もすっきりしただろうと、ほっとした気分がありまして」という。愛する伴侶の手術、大した危険は無いと言われているものの、やはり気になり、新樹を見上げて思いにふけっている。ともかく「新樹を見上げ」がいい。
(水 23.06.06.)