はらわたに響く太鼓や神輿渡御 田中 白山
はらわたに響く太鼓や神輿渡御 田中 白山
『合評会から』(府中くらやみ祭吟行)
青水 初めての暗闇祭で知った大太鼓の迫力には度肝を抜かれました。腹に響く音のすごさに一瞬のうちに祭の世界に呼び込まれていました。
三薬 太鼓がズンと響く句が何句かありましたが、右代表でこれ。なぜでしょう、太鼓が響くのは、心でも頭でもなく、臍周辺なんですよね。
三代 あまりに似た句が並んでいて悩みました。いっそどれも取るのをやめようかとも思ったのですが、あの太鼓の響きは私も印象に残ったので素通りもできない。「はらわた」の方がより原始の響きに近いかと。
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神輿も立派だったけれど、立派な神輿ならさして珍しくない。やはり府中くらやみ祭の圧巻は太鼓だ。直径が2メートルという日本一の大太鼓が次々に6基もやって来る。
句会には当然それを詠んだ句が沢山出た。「暗闇の若葉揺すらせ大太鼓」「いなせやな祭り太鼓に立つ男」「御旅所へおいでと宵の大太鼓」「下腹に響く太鼓や神輿渡御」・・。私もあのズシーン、ドッシーンと響く音に打たれて気が遠くなりそうになり、「萎えし身に暗闇祭大太鼓」と詠んだが、ストレートに「はらわたに響く」と言ったこの句には負けた。
(水 23.05.25.)