街路樹の日々艶をます穀雨かな 久保田 操
街路樹の日々艶をます穀雨かな 久保田 操
『合評会から』(日経俳句会)
枕流 ゴールデンウイーク前、新社会人とかもちょっと慣れてきたような、爽やかさというか、街が輝いているみたいな感じが伝わってきます。
朗 ひと雨ごとに緑を増す街の情景が目に浮かびました。
双歩 新緑のことを上手くまとめたなと思って頂きました。
反平 我が家の前、緑が濃くなっていく若木の街路樹を日々見ています。その緑が雨でさらに鮮やかになって、うれしくなります。きれいな句ですね。
明生 穀物、野菜などにとって恵みの雨であるように、街路樹にも恵みの雨。生き生きとしている街路樹の様をよくとらえています。
百子 穀雨という季節を表す季語の本意が一番出ている句だと思います。
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「穀雨」は二十四節気の一つで、春の最後の15日間を言う。気温上昇とともに盛んに雨が降り、種籾を始め種子の芽生えを促し、野菜も育つ。これが俳句に取り入れられ、晩春から夏へと移り変わる時期を詠む季語になった。
句会では「穀雨という季語はその時期を詠むべきなのか、雨に狙いを定めるのか」が議論になった。穀雨は歳時記では「時候」の部に入れられており、「天文」の部の「春雨」や「菜種梅雨」などと異なり、「雨」はあまり意識されていないようだ。だからといって、雨を無理に排除することもない。この句はその点、街路樹の緑が増す穀雨の「時期」を詠みながらも、木々の葉の艶やかさを際立たせる「雨」も詠んで、実…