せせらぎに囀交じる峡の宿    中村 迷哲

せせらぎに囀交じる峡の宿    中村 迷哲 『合評会から』(日経俳句会) 鷹洋 典型的な俳句ですね。僕は最近、こんなところへ行った事がないので、憧れを込めて頂きました。 而云 こういう事もあるんだろうなと思い、良い雰囲気で選びました。 双歩 こんな宿があったら泊まってみたいなあと思って頂きました。 明生 出来すぎ、綺麗すぎと感じるほど景の見える句。こんな山峡の宿に一度は泊まってみたいものです。 操 谷間の宿で心安らぐひと時、せせらぎの音に囀りが呼応する。 豆乳 こんな素晴らしい山峡の宿に泊まりたいです。 十三妹 一日でもいい、なにもかも忘れて、こんなところで、のんびりしたいなあ。           *       *       *  採った人は、異口同音に「こんな宿、泊まってみたい」という。泊まった宿の窓から川のせせらぎがが聞こえてくるだけで、大満足なのに、小鳥の囀まで聞こえてくるというのだから、たまらない。  観光地の旅館のパンフレットやホームページには素敵な写真が満載だ。美辞麗句を並べ立てるより、写真の方が訴求力があるからだ。しかし、洒落たパンフなどよりもこの一句の方がよほど魅力的だ。たった十七音にこんな力があるとは。パンフの表紙にこの句を掲げれば更に効果がありそうだ。  食べ物の句は美味しそうに作れ、という。宿の句は泊まりたくなるように作れ、との箴言が生まれそうだ。 (双 23.04.13.)

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