春風や宝石つけて高島屋 星川 水兎
春風や宝石つけて高島屋 星川 水兎
『合評会から』(番町喜楽会)
百子 面白いですね。高島屋もいいけれど、三越にしてほしかったな。あっ字足らずか。今の若い子は、デパートなんて知らないんですよね。昔は着飾ってデパート通いをするのが有閑マダムの常。ちょっと誇らしくウキウキして出かけるんです。
愉里 私の高校の同級生が今高島屋の社長をやっていて、単独で生き残っているデパートは高島屋だけだという話を聞きました。
的中 幾つぐらいの年齢の人が宝石つけて出かけるんだろうかと思いました。やはり年配の人ですよね。春になって、コロナも収束したみたいだからという事でしょうか。
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昔から私はデパートや老舗の店屋をひやかし歩くのが好きで、姉や亡兄などからは「大の男が見っともない」などと言われた。それが80台半ばになって一家の「買物役」になった今役立っている。「この品でこの値段、お買い得かまやかしか」の見立てが大概当たる。近頃はそういうことを男が言っても恥ずかしくない世の中になっているのが面白い。ただ、そういう私も宝飾品と婦人服の値段だけは分からない。舌を噛みそうな名前のデザイナーズブランド。パジャマのようなベラベラの上下が何十万円、手首にじゃらじゃら光るものが数百万円と聞くだに「世の中おかしくなってるなあ」とつぶやく。
(水 23.04.07.)