小さき手をつなぐ皴の手彼岸道 高石 昌魚
小さき手をつなぐ皴の手彼岸道 高石 昌魚
『合評会から』(日経俳句会)
三代 お婆さんが孫と手を繋いでお爺さんの墓参り、という景が浮かんできました。微笑ましい。
実千代 自分のことを詠まれているんじゃあないかと思った。子どもとお婆さんの愛情豊かな情景が見えました。
鷹洋 絵に描いたようなところを句にしていて。憧れをこめて頂きました。
芳之 孫世代へのバトンタッチ(伝承)のようにも感じました。
反平 孫の手と思うのが普通だが、奥さんの手かもしれない。いずれにしろ優しい心が通う暖かい日なのだ。
定利 皴の手が良い。
而云 皴の手が小さな子供の手を繋いでいるのか、それとも子供の手がばーばの皴の手を繋いでいるのか、どちらが主語だろうと迷った。小さな手がばーばの手を繋いでいる方が良かった。
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大病を乗り越え94歳の春を満喫されて居られる句会最長老の作者は、公衆衛生学の大家であり、ことに子供の健康保持・増進に関する医療に造詣が深い医学者である。そういう背景もあってのことであろう、子供を詠んだ素晴らしい句が多い。シワの手から小さく柔らかい手に、「孫世代へのバトンタッチ」という芳之さんの読み取り方が正鵠を得ているような気がした。
(水 23.04.05.)