英尾碑に合格祈る春陽射し 池村 実千代
英尾碑に合格祈る春陽射し 池村 実千代
『この一句』
日経俳句会の創設者、故村田英尾先生を偲ぼうと、お彼岸の頃に有志でお墓参りを兼ねた吟行を催している。コロナ発生直後の2020年はさすがに開催を断念したが、毎年欠かさず行っている春の恒例行事だ。
英尾先生没後満18年の今年、好天に恵まれた八王子霊園に日経俳句会と番町喜楽会の仲間7人が集った。師の忌日(3月2日)直前の2月末とあって、霊園は梅の香が漂い、芝焼きの焦げ跡から新芽がちらほら顔を覗かせていた。お墓に水を打ち、線香を上げ一人ずつお参りをした。とりわけ熱心に手を合わせていたのが、吟行そのものも久しぶりの参加となった作者だった。「丁寧なお人だなと感心していたが、この句を見て合点が行った。最愛の孫娘が医学部お受験なんですね。必ずや英尾先生も応援して下さるに違いない」とは、水牛さんの句評。
作者のお孫さんはこの春、大学受験。近所に住んでいる孫娘のために、受験当日は勝負弁当を作って持たせているとか。「私がコロナにでもなったら大変だから、これまでは句会も吟行も出席を控えていたの。これからは、半径2キロメートルの生活から解放されるわ」とのことで、句会も吟行も積極的に参加するという。
お祈りと勝負弁当の効験あらたか。すでに私立の有名医科大学には合格し、国立大学の結果を待つのみだそうだ。おめでとうございます。
(双 23.03.13.)