介護の夜妻に添い寝の余寒かな 大沢 反平
介護の夜妻に添い寝の余寒かな 大沢 反平
『合評会から』(日経俳句会)
実千代 介護は大変ですが、この句は、ほのぼのとした感じを受けました。
雀九 蕪村の句「身にしむや亡妻の櫛を閨に踏む」に通じる、深々とした雰囲気を感じました。
而云 作者の優しい気持に感嘆しました。
愉里 作者が想像され、採らざるを得ないと思った。
青水 我が国の文学史に燦然と輝く私小説の世界が描かれている。好みは別として、その赤裸々さが小気味よい。
静舟 最愛のご夫婦、こうありたいが、人生なかなか。
ヲブラダ ロマンチックです。
百子 見方によっては甘っちょろい句ですが、奥様を介護なさっている、愛あふれる句ですね。
昌魚 介護は大変ですよね。私も老々介護で苦労していますので同感です。
木葉 これは切ない「余寒」だ。介護が必要なご夫人のため、就寝中もそばにいる。夫の献身には感謝感謝の妻だろう。
* * *
暖かくなってきたなと思うと寒さがぶり返すのが余寒。介護される妻の調子も良くなったり悪くなったり、起伏がある。季語とよく合っている。それに老々介護の様子をそのまま詠んでいて、実にいい句だ。しかし、身につまされて何だか気が滅入ってしまい、私は句会でどうしても採れなかった。それを今悔やんでいる。
(水 23.03.05.)