三日ほど晴れて焼野の匂ひかな  今泉 而云

三日ほど晴れて焼野の匂ひかな  今泉 而云 『合評会から』(番町喜楽会) 水兎 わかりやすい句なのでいただきました。あゝ、もう三日くらい経ったなあという思いでしょうか。 愉里 晴れて空気が澄んだことで、焼野の匂いがするようになったのでしょうか。焼野の匂いを焦げ臭いと思う人ではなく、この人はそういう匂いが好きな人だと思います。 可升 わたしもこの人は焼野の匂いが好きなのだと思います。「三日ほど」という詠み様が、俳句らしさを感じさせます。 百子 雨が降った方が焼野の匂いは強くなる気がします。三日も晴れが続くと匂いはなくなるのではないかと思い採れませんでした。           *       *       *  兼題は「末黒野」だったが、「焼野」の句に仕立てた。歳時記によっては両方裏表の傍題となっているようだ。末黒野という平安朝風の雅を取るか、現代もあちこちで行う野焼き後の焼野と受け取るかであろう。厳密にいうと末黒野は川べりの茨や芒が半焼けに残っている様らしいが、馴染みのあるものではない。時雨ほどの少雨なら三日の晴れがあれば焼け焦げた匂いがかすかに残っているとも思える。なににしても正統俳句の佇まいがある印象的な句だ。作者によると、学童疎開をしていた昔に友人が、今日は雨が上がって焼野の匂いがすると言っていたのを思い出しました、とあるが。 (葉 23.02.14.)

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