乱戦の初場所世相写すかに 大澤 水牛
乱戦の初場所世相写すかに 大澤 水牛
『この一句』
作者は知る人ぞ知る相撲好きである。どんなに好きかは、このブログの「水牛のつぶやき」を読めばすぐわかる。筆者は社員全員が原価計算と品質管理をしているような会社で育ったため、すぐに統計をとりたがるのが悪い癖。昨年一年間に掲載された「つぶやき」は全部で85篇。そのうち相撲に関する記事は18篇。約2割が相撲の記事である。大相撲は一年六場所。従って相撲が開催されている時の率は、その倍の約4割となる。しかも、一場所は十五日だから、場所中はほぼ相撲の記事が占めていると言って良い。それくらい大相撲好きということである。
記事の内容をよく見ると、この初場所に限らず毎場所乱戦模様である。たとえば昨年の名古屋場所のタイトル。「焦熱地獄の名古屋場所」(7.8)、「案の定めちゃくちゃ場所」(7.10)、「興味は朝乃山の復活だけ」(7.11)、「でたらめ名古屋場所終る」(7.24)。要するに白鵬なき後、常に乱戦なのである。
この句は相撲の乱戦が世相に似ていると詠んでいるのだが、その本意は、むしろ世相の乱れが深刻であり等閑視できないという思いを句に仕立てたと読める。ウクライナのこと、防衛費のこと、おさまらぬコロナ禍のこと・・・。ご贔屓の朝乃山が今日も勝ったのがせめてもの救いか。
(可 23.01.16.)