米粒のごと柊の花こぼれ 須藤 光迷
米粒のごと柊の花こぼれ 須藤 光迷
『合評会から』(番町喜楽会)
青水 僕の部屋の前にも柊の花が咲いていて良い匂いがします。柊を愛好する人ならではの観察の細かい句ですね。
白山 柊の花はたしかに米粒のような花です。これは実際に見て詠んだ句だとわかります。
双歩 柊の花を「米粒のごと」と詠まれたことに、なるほどなあと感心しました。
幻水 情景をとても美しく詠まれたなと思いました。
水馬 建て替える前の我が家の玄関前に柊の木があったことを思い出しました。きれいな句です。
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作者は「玄関先に柊があって、新聞を取りに行くと小さな花がキラキラ光っています」と語っていた。葉に鋭いトゲがあるので嫌う人もいるが、これが「魔除け」なのだと、門の近くや玄関の脇に植えられる。節分の門口に柊の枝に鰯の頭を刺した「柊鰯(ひいらぎいわし、やいかがし)」を飾るのも、棘と臭気で邪鬼を払う呪い。「鰯の頭も信心から」ということわざの由来になった。
今では柊鰯を飾る家は少なくなったが、相変わらず玄関近くに柊のある家は見かける。この花がぱらぱら散るようになると、「ああ本格的な冬の到来だなあ」と思う。
(水 22.12.22.)