文化の日最前列でタカラヅカ   旙山 芳之

文化の日最前列でタカラヅカ   旙山 芳之 『合評会から』(日経俳句会) 三薬 文化の日に実際に宝塚を見に行ったんでしょう。最前列でねえ。非常にのんびりしていてよろしい。宝塚というカタカナもよろしい。以上です。 健史 文化の日、最前列、タカラヅカ。印象の強い三つの言葉の組み合わせが絶妙です。 実千代 文化の日とタカラヅカの対比がおもしろい句です。 愉里 よほどの伝手がないと最前列のチケットなんて手に入らない。たまたま文化の日 に一番前でタカラヅカ見られたっていうことはちょっとないことかな。           *       *      *  句友のなかに熱心なヅカファン(それも男性)がいるとは初めて知った。ヅカガールとかヅカファンというカナ表記をして、自ら一般の観劇愛好者と区別するところがある。古い歴史と厳格な規律が支配する女の園を、世の男が憧れの眼差しでみても無理はない。  毎春、宝塚音楽学校の合格風景は風物詩である。花、雪、月、星、宙の五組があるくらいは、一度も舞台を観たことのない朴念仁の筆者でも知っている。「雪月花」といえば短歌俳句の世界に通じる。どの組に作者お目当てのスターがいるのか。年季の入ったファンなら特別の伝手があるのかもしれない。なんと最前列でレビューを愉しんだと衒いもなく句にした。読む人も「ああよかったね」と気持ちがよくなる。こんな〝自慢〟めいた句ながら嫌味はない。それは晴れの特異日「文化の日」のことでした。 (葉 22.12.02.)

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