打っちゃれと客も反身の草相撲  中村 迷哲

打っちゃれと客も反身の草相撲  中村 迷哲 『この一句』  「寄れっ、寄り切れっ」「踏ん張れっ、打っちゃれっ」――神社の奉納相撲か、町内の相撲大会かはともかく、なんとも面白い光景を射止めたものだ。土俵を取り巻く観客の、身振り手振りが加わってのわいわいがやがや、盛大な声援が聞こえて来る。相撲は中学生や社会人によるものか、白熱の一戦に周囲が沸き返っている。  合評会では「応援している風景を『客も反身』と詠んだのが面白い」(春陽子)という見方がある一方、「打っちゃりは高度な技なので、草相撲では現実的じゃない」(双歩)という意見があった。「『客も反身』というのは作り過ぎ。月並み俳句の高点句じゃないか」(水牛)という、いささか手厳しい批評も。  「俳味のあるいい句だと思いましたが、草相撲は入場料をとらないので『客』という表現には違和感が…」(木葉)という短評、さらに「テレビの前で体を動かしながらプロレスを見ていた親父を思い出して」(可升)という感想も。コロナ騒動も下火となっての、再開されたイベント風景と受け止めたいのだが・・・。 (光 22.10.27.)

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