続柄は「未届の妻」秋入梅 高井 百子
続柄は「未届の妻」秋入梅 高井 百子
『合評会から』(番町喜楽会)
光迷 「未届の妻」がいい。ひょっとしたら「無届」なのかもしれない。
春陽子 己のことをきちんと詠むのも大切なことです。
木葉 不謹慎かもしれないが、面白い句ですね。「入梅」には梅雨が長く続くというイメージがあり、読みは同じ「あきついり」だけど、「秋黴雨」の方が良いのではと思いました。
而雲 未届の妻を括弧でくくるのはどうなんでしょうか。
水牛 私は括弧のある句は絶対採りません(笑)。
百子(作者) 「未届の妻」とは私のことです。法律用語なのであえて括弧でくくりました。健康保険の窓口で「続柄は?」と聞かれ、説明したら「それなら未届の妻ですね」と言われました。
* * *
「内縁の妻」や「未婚の母」は聞き慣れている。だが「未届の妻」は初めてだった。しかもそれが法律用語とは…。最近では「LGBT」もある。それだけ社会が多様化したのだろう。「括弧のある句」で知られたものには鈴木六林男の、遺品あり岩波文庫「阿部一族」がある。俳句も時代を反映するものとすれば、記号・ローマ字…いろいろあってもいいのではないか。
(光 22.10.18.)