大鰯誉められ叩かれつみれ汁  中沢 豆乳

大鰯誉められ叩かれつみれ汁  中沢 豆乳 『合評会から』(日経俳句会) 三薬 鰯の身になってみると、ホントに腹の立つことだろう。「まあ立派な鰯」なんて言われて叩かれてつみれにされて。こういうユーモアのある句が好きで、頂きました。 てる夫 調子よく、面白おかしく作りましたね、っていう事ですよね。 静舟 大振りの魚体を誉められた後は、つみれにするために叩かれる無情!洒落てます。 芳之 言葉の組み合わせとリズムに引き込まれます。           *       *       *  私も鰯が大好きで、つみれを時々作る。シコと呼ばれる真鰯(カタクチイワシ)の小型のが店頭にどさっと出ることがある。ザル一杯200円なんて書いてある。今どき取れたての魚でこんなに安いのは他に無い。これを手開きする。簡単に身が剥がれる。包丁で叩き擂鉢に入れ、おろし生姜と刻み葱と片栗粉を少し入れて摺り混ぜる。これをお玉か大さじでしゃくって、沸騰した鍋にぽとんぽとんと落とす。浮き上がってきたら出来上がり。  熱々を椀に盛って、刻み小ねぎと七味、あれば柚子の皮をちょっぴり載せて、醤油を少々。風邪なぞたちまちすっ飛ぶ。もちろん鍋にしてもいいし、大根、人参、ごぼうと一緒に味噌仕立てのつみれ汁も実に旨い。  この句は大ぶりの親鰯だ。シコと違ってかなり脂っこく、少しくどい感じもある。しかし、旨味は十分だから、この方を好む向きも多い。ともあれ、寒くなるこれからが「つみれ汁」の季節である。 (水 22.10.10.)…

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