八月やお洒落心も遠くなり 池村 実千代
八月やお洒落心も遠くなり 池村 実千代
『合評会から』(日経俳句会)
てる夫 お化粧どころじゃないこの暑さ。その一言ですね。
木葉 採らなかったけど実感ですね。
水兎 とにかく涼しい格好をしたいですよね。
迷哲 化粧か着るもののことか、どっちを言っているのかな。
愉里 女性が化粧するのはお洒落じゃない(笑)。
明生 暑さにお洒落する元気も起きない。そんな女性の気持をよく表している。
操 夏の疲れが何をするにも億劫な季節。
双歩 「こう暑いと」という気分が伝わります。
* * *
作者はいつもお洒落な格好で颯爽と句会に現れる。高価そうとか、華美とかではなく、センスを感じさせる出で立ちだ。そのお洒落な作者が、「お洒落心」を無くすほど〝暑い〟八月だと言う。暦の上では早々と秋を迎えたが、現実は夏真っ盛りの「八月」という季語を素直な心情で表現していて好感が持てる。(双)
洒落っ気の失せた男はヒゲを剃るのも面倒になる。しかし女性はそんなことは無いだろうと思っていたら、この句が目についた。やっぱり女性も「お化粧どころじゃないわ」なんて思うんだなと妙に感心した。令和4年8月はことに異常で、それをさりげない言い方でずばりと詠んだものだと感心した。たまたま二人が同時にコメントを書いてしまったので合体並記する。(水 22.08.23.)