なんとまあ草間彌生や毒茸 玉田 春陽子
なんとまあ草間彌生や毒茸 玉田 春陽子
『合評会から』(番町喜楽会)
青水 草間彌生と毒茸の取り合わせはなんとも的確です。類句があるかもしれませんが…。
水牛 あの毒々しいベニテングタケとかカエンダケとかを見て草間彌生を思い浮べるセンスに感心しました。
木葉 毒茸から草間彌生の水玉模様を連想するのはいいですね。上五の「なんとまあ」も効果的です。
迷哲 言われてみれば絵画やオブジェの形と色は毒茸そっくり。「なんとまあ」が発見の驚きを伝えます。
可升 「なんとまあ」に一茶の「これがまあ」を連想してしまい、せっかくの草間彌生のアヴァンギャルドな魅力が減殺された気がしました。
而云 「これやこの」なんてのも面白いかもしれない。
水牛 いや、やっぱり「なんとまあ」が俳諧的でいいですよ。
* * *
賛成・反対のいずれにせよ、この一句の焦点は、「茸」に対し「草間彌生」をぶっつけたことだ。茸に南瓜などドットの繰り返しが特徴の絵画やオブジェを得意とする作家である。そう、瀬戸内海の島に飾られた南瓜は流されたのだとか。読み手の意表を突き、かつ納得させてしまう取り合わせ――その発見も俳句の妙手なのだろう。
(光 22.08.21.)