猛暑道傘で日陰を持ち歩く 澤井 二堂
猛暑道傘で日陰を持ち歩く 澤井 二堂
『合評会から』(日経俳句会)
雀九 なるほど、と思って、笑ってしまいました!この句の発想は男性、差している日傘は女性。では作者はどちらでしょうか。
健史 独特な把握が詩情を生んだ。
明生 日陰のほとんどない道を日傘で歩いたのでしょう。持ち歩くが面白い。
昌魚 日傘で「日陰を持ち歩く」には脱帽です。素晴らしい。
水馬 面白い。今年は男性も日傘を差しているようです。
定利 日陰を持ち歩くとは上手い。想像すら出来なかった。
迷哲(司会) 点を入れた上記の方々はすべて欠席者です。出席の皆さんにご発言頂かないと合評会が成立しません(笑)。
双歩 「炎天下」なら採った。なんで猛暑道などという言葉を無理やり持ってきたんだろう。
木葉 確かに猛暑道は無理があるね。
反平 詩情が伝わってこないんだよなあ。
* * *
実は私も合評会で「『日陰を持ち歩く』とはウイットに富んだ表現だろう、どうだいという作者の手柄顔が見えてしまう」と酷評してしまった。幕末から明治中期にかけての、いわゆる「月並俳句」で、粋人の旦那衆が競い合った「遊び」と「機知」の句である。しかし、現代俳句に失われてしまった、こういう面白味というものは、やはり大事にすべきだなと思い直した。
(水 22.08.17.)