内外の鬱を忘れる大夕焼け 堤 てる夫
内外の鬱を忘れる大夕焼け 堤 てる夫
『合評会から』(番町喜楽会)
光迷 国内では元首相の銃撃、円安の進行、海外では台湾海峡やウクライナをめぐる緊張、欧米のインフレなど、いろんなことがあります。しかし、そんなことは打っちゃっといて、夕焼けを見ると、自然はいいなあ、人間のなんと小さいことよ、とつくづく思いますね。自分の場合は、多摩川べりなどからですが…。
二堂 きれいな夕焼けを見ていると、宇宙の大きさを感じ、内外の憂いは小さく感じます。
幻水 内はコロナ、世界はウクライナ、台湾など鬱屈することばかり。それだけに大夕焼けの美しさが身に沁みます。
可升 「内外の」はまさにその通りなんだけど、ちょっと散文的な気が…。
木葉 「うちそと」と読ませたらどうだろう。
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上五の「内外の」に違和感を覚えたり「散文的」としたりする評にその通りかもと思う。しかし、自分はこの言葉を「内憂外患」の省略と受け取った。目下の日本は国内にも海外にも難問山積である。しかしそれも自然の営みに想いを馳せれば、なんとちっぽけなことか。もっとも温暖化ならぬ熱帯化で、この星を壊すのは止めて欲しい。それにしても人間の英知とは…。
(光 22.08.15.)