夏深しマスク少女の目の力 杉山 三薬
夏深しマスク少女の目の力 杉山 三薬
『この一句』
コロナ第7波とあって暑苦しいマスクをはずすことが出来ない。7月28日には東京都内で過去最高の新規感染者1日4万人突破の恐ろしい記録を作った。日本全国では23万人とこれまた最高記録だ。
しかし政府のコロナ対策はお粗末極まりない。というより「何もやっていない」と言った方がいい状態だ。防疫体制を強めると経済活動を圧迫するという理由から、以前のような飲食店の営業時間制限や旅行禁止措置などを再度実施するのをためらっている。国民に行動自粛制限の呼びかけもしない。マスクも「人混みでなければ外しても良い」なんて言っている。というわけで、感染者はまだまだ増え続けそうだ。
この少女は「薄汚い政治家や役人の言うことなんか絶対に信じない」とばかりに、マスクは金輪際はずさぬと、きつい眼差しで前方を見据えている。頼もしい感じもする一方で、壊れやすいクリスタル・ガラスのような危なっかしさも感じる。言われてみれば私もこういう少女の純粋な眼差に出会した覚えがある。
「マスク生活で目の力を感じることが多くなりました。これからの進路に向かっている少女の気合を感じる句です」(実千代)、「マスクをかけている少女の目は、たしかに生き生きとしており、それを『目の力』と詠んでいるのが上手です」(明生)という評があった。
(水 22.08.11.)