幼子の両手突っ込む金魚鉢    田中 白山

幼子の両手突っ込む金魚鉢    田中 白山 『合評会から』(番町喜楽会) 的中 三歳か四歳の子でしょう。思わず金魚を獲ろうと両手を突っ込んだのですね。そしたら水が冷たくて、びっくりしたのでしょうか。夏らしい可愛らしい句です。 水牛 我が家でも息子が二歳の時にやりました。僕も女房もあっけにとられました。勢いのある詠み方に好感が持てます。 斗詩子 親がちょっと目を離したすきに、動く金魚に興味津々の幼児がやる風景ですね。 光迷 ちなみに、我が家の息子は二歳の時に縁日に行って、あの金魚掬いの水槽に落ちてしまったことがあります(笑)。           *       *       *  幼児がいて、金魚を飼っていたことのある家庭なら、どこでも一度は経験したことのある光景ではないだろうか。この句の良さはやはり「両手突っ込む」にあるような気がする。子供が実際に両手を突っ込んだのかどうかは別にして、「両手突っ込む」と表現したことで、子供の天真爛漫さが加わり、とても勢いのある佳句になっている。  ところで、この後はどうなったのだろうか?金魚鉢がひっくり返って、リビングが水浸しになったのだろうか。もちろん大人は叱れないだろう。子供の手の届くところに金魚鉢を置いた大人が悪いのに決まっている。 (可 22.07.20.)

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