看板なき岩波ホール凍返る 廣田 可升
看板なき岩波ホール凍返る 廣田 可升
『合評会から』(番町喜楽会)
春陽子 残念ながら岩波ホールが閉じるという事ですね。さんざんお世話になりました。季語の「凍返る」がよく効いています。
水牛 バブルはじけて以降の文化置き去りの姿です。神保町の交差点に穴が空いてしまった感じがします。時代を画する一句ですね。
的中 先日、岩波ホールで「ユダヤ人の私」「ゲッベルスと私」という映画を観てきました。よい映画を世界中から発掘してきた歴史のある映画館が閉館することはとても淋しいものです。「凍返る」の季語がぴったりです。
てる夫 ちょっとショッキングなニュースでした。「凍返る」がぴったり。
斗詩子 名画を楽しんだ岩波ホールが看板を下ろすという。コロナも影響したのでしょうか、寂しさもひとしおです。
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作者は自転車に乗って都内くまなく走り回る。「岩波ホール閉館」の発表があって直ぐに出かけると、交差点からよく見えていた大きな看板が外され、うたた感慨にふけったようだ。私自身は「岩波臭さ」というか特有の気取りが好きではないので、このホールにも2回しか行ったことがないのだが、それにしても一つの文化を築いた城が崩れてしまうのは寂しい。
(水 22.02.11.)