番号で呼ばるる検査冬の雨    廣上 正市

番号で呼ばるる検査冬の雨    廣上 正市 『合評会から』(日経俳句会) 三薬 人間ドッグは番号で呼ばれるなあ。忘れていたことを気付かせてくれた。 鷹洋 個人情報保護がうるさいせいで名前を呼ばなくなった。複雑な気持がある。そのへんを詠んで上手い。 三代 番号の無機質さ、冷たさが「冬の雨」と響いている。 方円 病院で番号か名前かどちらで呼びますかと聞かれ、名前にした。そのおかげで、マスクをしていたのだけど、聞いたことのある名前だと声を掛けられ、知人と何十年ぶりにばったり会った。 守 どこか不調で医者を訪れたのか。「ああ面倒だな」というような漠然とした気持が伝わってきました。 睦子 病院も銀行も個人情報対応が細かくなってきました。確かに名前は知られたくないものの、冷ややかさを感じます。 春陽子 人間ドッグの風景か。せめて○〇さんと名前で呼んでほしいですね。 阿猿 番号で呼ばれると自分がモノになったような気になる。寒々とした気分を「冬の雨」に込めた。           *       *       *  昔の監獄は囚人を番号で呼んだ。今の刑務所もやはり番号か。個人情報保護などが行き過ぎると、こうして人間はモノ扱いになる。索漠たる世の中を鋭く抉る句である。(水 22.01.14.)

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