先生の卒寿の冬や我ら喜寿    澤井 二堂

先生の卒寿の冬や我ら喜寿    澤井 二堂 『合評会から』(日経俳句会) 実千代 すごくお目出度く、うらやましい句だと思います。 明生 微笑ましいほっこりする句。小学校か高校か、読む人に懐かしさや生きる力を与える。 睦子 新任の先生との出会いだったのでしょうか。良い思い出があるのでしょうね。 静舟 歳を重ねると、かつての子供と先生ではなく同じ老人世界にいることを発見する。 昌魚 九〇歳と七七歳のお祝いの会。お互いに昔のことを思い出しながら楽しい集いですね。 二堂(作者) 高校の時の先生です。            *       *       * 長寿の祝いは60歳の還暦から始まり、古希(70歳)、喜寿(77歳)、傘寿(80歳)と続く。昔の人は短命だったので70歳でも「古来稀なり」と珍しがられたが、高齢化社会の現代では80歳を越えたあたりから長寿の仲間入りという感じではなかろうか。 掲句は卒寿(90歳)の恩師を囲み、教え子たちがお祝いしている場面と見た。祝う方も喜寿の巡り合わせで、目出度さが重なっている。数えで77歳とすると作者は昭和20年前後の生まれ。戦後の民主教育の学び舎で、若い先生と生徒たちは豊かな心の交流があったのであろう。半世紀を越えてのお祝いは絆の確かさを示している。 上五の「先生の」からは敬意が読み取れ、「我ら喜寿」と言い切った下五からは、仲間がいるから「まだまだ頑張るぞ」との決意も伝わってくる。わが身に引き替えて、数少なくなった故郷の恩師を思い浮かべ…

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