何センチ髪を切ろうか冬日和   大平 睦子

何センチ髪を切ろうか冬日和   大平 睦子 『季のことば』  冬は曇りがちな日が多く、暗くて寒い日が続く。たまに晴れると、陽ざしが暖かく、ありがたく感じられる。「冬日和」をはじめ冬日向、小春日和、冬晴、冬ぬくしなどの季語には、太陽の恵みを喜ぶ気持ちがこもっている。「日脚伸ぶ」という季語もある。江戸の俳人たちは冬の日差しの微妙な変化や違いを詠み分け、愛しんできた。 掲句は暖かな冬の日に、鏡の前でどのくらい髪を切ろうか思案する人物を描く。男もお詫びのために丸刈りにする時はあるが、髪を切ることで何かしらの決意や気持を示すのは女性がほとんどであろう。よく失恋した時に髪を切るという。女性に聞くと失恋以外にも、就職など新しい環境に臨む時、気分を変えたい時、ストレス発散、手入れが面倒になったなどいろんな理由があるという。「何センチ髪を切ろうか」という口語表現が魅力的で、軽やかに変身を企てる女性像が浮かんでくる。柔らかな冬日和の雰囲気にぴったり合う。 作者は最近、ひざの手術を受けたと聞いた。リハビリを兼ねて新春から積極的に外へ出て歩こうと決心されたのではなかろうか。髪を切ってイメージを変え、久しぶりに会う友人を驚かそう。そんな作者の心の弾みを想像してみた。 (迷 22.01.06.)

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