寒の水足せば目高はもぞ動く 鈴木 雀九
寒の水足せば目高はもぞ動く 鈴木 雀九
『合評会から』(日経俳句会)
双歩 もぞもぞということなんでしょう。面白いです。
木葉 辞書に「もぞ」で出ています。よって、戴きました。
三薬 寒くなって半ば冬眠状態になっているところへ水を入れた。そうしたら動き出した。
阿猿 冬場の観察俳句。「は」で少し散文的に。惜しい。
水牛 冬になると水が蒸発して減るので足さないといけません。水を足していたら、半冬眠のメダカが目を覚ました、というんでしょうね。
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飼ったことがないので知らなかったが、メダカは冬眠状態で越冬するという。屋外で飼っている場合、冬眠したら餌はやらない、水位を保つために足し水をする、すだれなどで覆いをすると良い、などの注意点がネットに載っていた。屋内の水槽では、水温が10°C以下になったら、活動が鈍り半冬眠状態になるそうだ。
作者は飼っているか、飼ったことがあるのだろう。冬は餌やりは控えるが、蒸発した分の水は足さなければならない。その足し水が寒の水だという。人間でも寒の水を飲むとシャキッとするから、メダカだって「もぞ動く」に違いない。もっとも、冬眠中のメダカに冷たい水を足してストレスを与えるのは良くないらしいので、作者が足したのは温度を調節した寒の水だろう。
(双 22.01.31.)