さりげなく団扇で換気立ち話  旙山芳之

さりげなく団扇で換気立ち話  旙山芳之 『合評会から』(日経俳句会) 水馬 コロナ伝染はやはりエアロゾルだそうですから、外での立ち話でも気になりますね。話の最中に相手が扇子や団扇を使い出したら、即、話を切り上げましょう。 守 同感。思わずこうしたくなる時が、私もあります。 静舟 コロナ禍の笑えぬご近所さんとの危うい?立ち話。 実千代 わかります、わかります、この情景。 三薬 道で出あった話好きのおばちゃん。マスクなし、距離も近過ぎ。もっと離れてと言いたいが、それもできない。で、さりげなく団扇で風を送る。この機微、さすがですね。江戸川柳を思わせる味わい。立ち話は屋外だから、換気というのは如何か、なんてヤボは申しません。 雅史 コロナ禍が終わり「令和三年の夏はこうだった」と思い出話になるといいですね。           *       *       * 作者の話だとこれは社内風景だという。お互いマスクはしているが、擦り寄って話しかけてくる人や声の大きな人に対しては団扇が活躍しているのだそうだ。雅史さんが言われるように、まさにこれは「令和三年夏」の年代記に添える一句だ。 (水 21.08.23.)

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