蝸牛余生は殻を持て余し     向井 ゆり

蝸牛余生は殻を持て余し     向井 ゆり 『合評会から』(日経俳句会) 木葉 蝸牛の一生を自らに重ね合わせているようです。作者の「殻」とは持ち家でしょうか。老境に入って子供も継承しない家を、さてどうしようと思いあぐねているのだと解釈しました。 鷹洋 穏やかな余生を期待してたのに、いざとなるとあれやこれや。なまじ筋を通そうとするから悩み・トラブルがつきない。なんとも因果な人の世です。 ヲブラダ 本物の蝸牛は殻を持て余すことはないと思いますが、なんともユーモラスです。 双歩 蝸牛を見ていると、殻を背負ってるせいか、どうしても人生を重ねたくなります。自分も似た詠み方をしました。 道子 わが身を顧みてしみじみと納得。 *       * 「蝸牛は石灰やコンクリを食べ、殻を大きくしながら成長するので、殻のヘリの形状で成長途中なのか成体かが見分けられる、とスマホが教えてくれました。どこで成長が止まるのか、その後どの位生きるのか、殻を大きくしないのは、蝸牛にとって楽なことなのか、衰えてただ出来なくなるのか、などが気になったところ。自身は、定年が二カ月後に迫り、複雑な心境にあります」と自句自解。これにあえて付け加えれば、「これからはもう殻を大きくする必要はありません。悠々と第二の人生を楽しんでください」。 (水 21.08.12.)

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