三伏やたてがみ光る競走馬   加藤 明生

三伏やたてがみ光る競走馬   加藤 明生 『季のことば』  句を見て「そうだった」と思い出した。競走馬・サラブレッドの発汗はもの凄い。特に酷暑の時期、走り終えた時のたてがみや体毛が真っ白に見えるほどなのだ。かつて競馬に凝り、競馬場に通っていた頃は「体から塩が噴き出している」などと思っていたが、そうではなかった。ネット情報によれば「汗が気泡になり、白く見える」のだという。  ネット情報をさらに紹介する。競走馬が一つのレース(二千㍍前後か)を走ると、特に夏の発汗量はすごく、総重量は三キロほどになる(ある情報によると冬の七倍)。走り終えたばかりの馬はしばらく興奮さめやらず、首を振り、後ろ足で立ち上がろうとしたりする。このような時も、かつての私の心にあったのは「馬券が当たった」「外れた」ばかり。  「三伏」とは極暑の期間のこと。夏至の後の第三の庚(かのえ)日を初伏、そして中伏を経て、立秋後の第一の庚の日を「末伏」というのだという。何だかよく理解できない面もあるのだが、ともかく酷暑の侯、レース後の馬のすごい発汗もまた「三伏」のもたらしたものだ。かつての私は一体、馬の何を見ていたのだろう、と現在は反省している。 (恂 21.07.29.)

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