胡瓜成る「し」の字「へ」の字に元気よく 澤井二堂

胡瓜成る「し」の字「へ」の字に元気よく 澤井二堂 『合評会から』(番町喜楽会) 的中 自然に栽培された胡瓜は元気に曲がっています。いかにも青々とした胡瓜の様子が表現されています。 満智 胡瓜が成っている様子をひらがなの形になぞらえているのが巧みですね。「元気よく」も効いています。 冷峰 下五の「元気よく」が平凡な句をしっかり支えている。 水兎 確かに色んな胡瓜がありますね。それが自然ですよね。 *       *       * 長年畑をやっている人の句に「水か陽か曲り胡瓜の出来具合」というのが今回同時に出ているので、水の量か陽の当たり加減が影響しているのだろうと推測できる。「し」の字「へ」の字の表現が、なるほどその通りと思わせて納得である。大根や人参などの根菜の形を仮名文字にたとえる表現は珍しくないが、下五の「元気よく」で、曲がっていることなど気にしていない作者のおおらかさが伺えていい。気持ちのいい句である。すなおに胡瓜の成長に満足している作者の姿も目に浮かんで共感できる。つまらぬことが気になっているが、「し」と「へ」のカギ括弧はなくてもいいと思うのだが……。 (葉 21.06.20.)

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