雨上がり虹の傘さす観覧車 岡田 鷹洋
雨上がり虹の傘さす観覧車 岡田 鷹洋
『合評会から』(日経俳句会)
昌魚 雨が上がって観覧車の上に綺麗な虹。美しい景ですね。
光迷 「コロナなんか、飛んでけ」と叫びたくなります。
操 しっとりとした空気の中に虹がわたる。青空が戻り爽やかな情景が広がる。
雅史 想像するだけでもワクワクする光景です。
二堂 大きな虹が、観覧車を登場させてよく表現されています。
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「五月初め、緊急事態宣言の禁を破り都内から横浜へ越境。みなとみらい・万国橋SOKOのベランダから見たコスモワールド観覧車の上空に見事な虹、千載一遇の感動」というのが作者の自句自解である。
戦時中、横浜駅から桜木町駅の先までの横浜港一体は高い塀で囲まれ、「軍事機密」地帯として一般人は近づけなかった。戦後も占領軍の命による立入禁止時代が続き、解除後も長らく「汚らしいヘドロの海」だった。それが今や「みなとみらい」というピカピカの街になり、超高層ビルが立ち並び、飲食・娯楽施設が各所に出来て、日本有数の観光都市に様変わり。作者が感激した近代アートの殿堂「万国橋SOKO」なるものも、ついこの間まではカビ臭い古倉庫で、ネズミとそれをねらうアオダイショウやイタチが駆け回っていた。つい先日、このすぐそばに「日本初の都市型ロープウエイ・YOKOHAMA AIRCABIN」が運行開始。コロナ禍もものかわ若いカップルの嬌声が空中にこだましている。
(水 21.06.16.)