婆さんの連弾の技春の風 池村 実千代
婆さんの連弾の技春の風 池村 実千代
『合評会から』(日経俳句会)
而云 「婆さん」は突飛だが、面白い。孫のピアノに連弾で加わったか。春の風が曲調を想像させる。
雅史 春風のように爽やかな演奏だったんでしょうね。とても素敵です。
水兎 素晴らしいですね。何を弾かれたのでしょうか?「老女」ではなく、意外さを感じさせるお二人が、春の風にのって弾くピアノ。人生百年時代ですね。
水馬 状況を色々と考えさせてくれる句ですね。また、連弾は一人ではできない難易度の高い曲も演奏できるそうですね。いづれにしても春らしいすがすがしい雰囲気がいいと思います。
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この句について作者の弁がある。「四月のピアノ発表会で友人と連弾します。曲目はパッヘルベルのカノン。ユーチューブでプロの演奏をきき私達のは小学生レベルだわと笑いながら練習を重ねる日々。相手の音をしっかりとつかみ心穏やかに楽しくピアノに向かいます。あうんの呼吸の技を駆使して。コロナの自粛生活のお蔭で得た一番の宝物かもしれません」。これがこの句についてのすべてを語っている。オバアチャマ二人の連弾。自分たちはもとより、子どもたち、孫たちにも有無を言わせず「上手い」と言わせてはばからない。春風が実に心地良い。
(水 21.04.21.)